コラム 【7・8月号】
● 今月のテーマ 〜 音楽を視る 〜
 先日、以下の記事を新聞で見て興味を抱き『LISTEN』という映画を見ました。
【 耳の聞こえない聾者(ろう者)たちが自ら「音楽」を奏でるアート・ドキュメンタリー映画だ。出演者は国内外で活躍する舞踏家から、演技経験のない一般の聾者まで多彩な顔ぶれが集まる。彼らは各々に「音楽が視える」と語り、「魂から溢れ出る“気”のようなもの」から「音楽」を感じるという 】

 視覚で訴える「音楽」。身体の動き(主に手や腕・上半身)で、リズムとメロディーを奏でるのです。勿論、スクリーンも客席も無音。見ている私は、どんな気持ちになるのだろう、どんな体験が出来るのだろう…? 大変興味深く客席に座り、スクリーンを眺めていました。そこで感じたのは「音」って何なんだろう?「音楽」って何なんだろう?「演奏」って何なんだろう?私の目に入って来る画面は、十分「音」も「音楽」も「演奏」もしっかりと感じ取れるのです!「出演者」と一緒になって、歌い、揺れ、リズムに乗る…不思議な気持ちがそこにありました。もしかしたら、音(音楽や言葉)は視覚に比べれば、ずっとインパクトの少ないもの?いやいやそんなはずは無い。目の不自由な方々は、様々な音を敏感に感じて、感性を磨いていらっしゃるのだから…

  近頃の過剰な「音」の氾濫に少々ウンザリしていた私の耳には、優しく心地よい「音楽」を、この映画で聴く事が出来ました。とても貴重な経験でした。皆様も音楽を視にいらしてみては?(sada)
リトミック豆辞典
 私たちが音楽を聴いたり、演奏したりすると、脳のいろいろな部位が活動し、部位間の相互作用も活発になります。楽器を演奏するときを考えてみますと、楽譜を見るのに、視覚を使い、自分の音を聞くのに聴覚を使い、手先を細かく動かしたりと、高度な調整を行っています。人間の脳の発達から見て、1歳くらいまでに視覚、聴覚が、3歳から5歳くらいにかけて、社会性、認知能力、言語能力がゆるやかに伸びていく、と言われています。この柔軟な時期に音楽を取り入れることは、脳の発達に効果が高いでしょう。ただ、知識や能力は使わないとすぐに忘れてしまいます。練習の期間、質に加えて、かける時間の量も大切ですので、子どもの成長に沿いながら、少しずつでも続けていけるとよいと思います。
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