コラム 【11月号】
● 今月のテーマ 〜 トーキング・ドラム お話しをする太鼓 〜
  私は、講習会でよく“トーキングドラム”を使います。腕に抱えてたたくので、移動しながら叩けますし、参加者とのコミュニケーションも言葉やリズムで取り易いですし、抱えている腕の力加減で音の高低も出ますので、相手に気持ちをアピールし易いでのす。

『今、この太鼓がなんて話したかわかりますか?』と問い掛けると、最初、ポカンとしていた人達も、徐々に慣れて来るとあんな事言ってるみたい、こんなこと言ってるみたい…と次第に、トーキングドラムに親しみを感じてくれる様になります。

 この太鼓はアフリカの太鼓ですが、文字通りお話しを伝達するために使われて来たものです。地域によって形も異なりますが、遠い村へお葬式や結婚式等の大切な事柄の伝達手段として、又、王様の系譜語りをする道具として使われました。現在でも文字を持たない種族では、貴重な伝達手段として使われているそうです。昔からの言い伝えで、そのリズムの意味が共有できるなんて素敵ですね!叩く人によってテンポが微妙に異なるのかも…自然環境によっても素材によっても音が変化するのかしら?等々、想像するだけで、ロマンチックですね〜

 この様なアナログな世界がなぜか羨ましく思われます。情報が瞬時に世界中を駆け巡る時代になりましたが、ゆったりした時間の中で、お互いを思いやる気持ちと、人間関係を築けたら良いな〜と願う今日この頃です。(sada)
リトミック豆辞典
ことばと歌・・・ 大人が幼児に対して、ゆっくりとした速さで豊かなイントネーションで語りかけるのは「対幼児発話」と言われ、歌うような話しかけです。赤ちゃんはこの「対幼児発話」に強い関心を持ち、言語の獲得にも関係します。幼児への歌いかけは「対幼児歌唱」と言われ、これも、赤ちゃんが強い関心を持ちます。また、赤ちゃんの心拍は歌を聴くと低下し、絵本の朗読などを聞くと上昇するようなので、歌唱は鎮静、発話は活性という異なる働きを持つ可能性があります。
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