コラム 【9月号】
● 今月のテーマ 〜なぜ、バリ島の音楽にひかれるのか〜
 インドネシア・バリ島は様々な伝統芸能や舞踊が息づき、「芸術の島」「神々の島」 と呼ばれる。

舞踊伴奏に使われる金属打楽器ガムランや竹筒を棒で打ならすテクテカンの周波数は、人が耳に出来る上限の20ヘルツを上まわり50ヘルツを大きく超える。演奏者の頭に電極をつけて調べた結果、脳はα波→β波→の順に増大し、最終的には ドーパミン(快さにかわる神経伝達物質)βエンドルフィン(脳内麻薬と形容される)等が目立って増えていた。さらに実験を進めると〈可聴音+高周波音〉の方が脳幹や、感覚情報にかかわる視床、自律神経やホルモン調節の中枢の人の視床下部の血流が増え、α波が増大した。「聞こえていない音にもかかわらず快さや、内分泌や免疫が活性化した」のです。脳は聞こえていない音にも反応し、「快」「不快」を感じるらしい。「ハイパーソニック現象」と名付けた現象だ。では、聞こえない音はどこから脳に伝わるのか。両方一緒にイヤホンで聞いても効果は無かった。可聴音をイヤホン、高周波音をスピーカーで聞くと効果が出た。体を遮音材で覆うと効果が下がった。結論は「高周波音は体全体で感じていた」。その仕組みは分っていない。

 多くの命を育むバリ島の熱帯雨林。鳥や虫の声、スコールの音…森を包む音は人が耳に出来る音よりももっと幅広い。「人類は何万年もそんな環境にひたってきた。その方が自然なのかもしれません」

 右記の方の文章抜粋 大橋力(国際科学振興財団理事〉本田学〈国立精神・神経センター研究所部長〉
リトミック豆辞典
 リトミックでは、音楽を使い、視覚、聴覚、触覚、言語、筋肉の感覚に刺激を与え、反応させます。そしてこれらの感覚的イメージを脳に蓄積し、必要に応じて、呼び戻すことができるようになります。音楽的イメージは、いろいろな感覚の経験から創られるもので、心の目、心の耳、心の筋肉、心の触覚などの蓄積も大切です。
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