コラム 【5月号】
● 今月のテーマ 〜 なぜ? 〜
 きな臭い話が広がる昨今、先日亡くなった坂本龍一さんが、東京新聞に寄稿した文章をご紹介します。

 2011年の原発事故から12年、人々の記憶は薄れているかもしれないけれど、いつまでたっても原発は危険だ。
いやむしろ時間が経てば経つほど危険性は増す。
コンクリートの劣化、人為的ミスの可能性の増大、他国からのテロやミサイル攻撃の可能性など。
なぜこの国を運営する人たちはこれほどまでに原発に固執するのだろう。
ロシアによるエネルギー危機を契機にヨーロッパの国々では一時的に化石燃料に依存しながらも、持続可能エネルギーへの投資が飛躍的に伸びているというのに。
わが国では、なぜ未完成で最も危険な発電方法を推進しようとするのか分からない。
発電によってうまれる放射性廃棄物の処理の仕方が未解決で増えるばかり。
埋める場所もない。
事故の汚染水・処理水も増えるばかり。事故のリスクはこれからも続く。
それなのに何かいいことがあるのだろうか。
世界一の地震国で国民を危険にさらし、自分たちの首もしめるというのに、そこまで執着するのはなぜだろう。
坂本龍一(音楽家)

以上全文です。本当にどうしたら世界中の人々が、平和で安心した日々を暮らせるのか…気が抜けない毎日です。(sada)
豆知識
“坂本龍一さんのお願い”…以下割愛してご紹介します。

東京都都知事 小池百合子様

神宮外苑の再開発について私の考えをお伝えしたく筆をとりました。どうかご一読ください。
率直に言って、目の前の経済的利益のために先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではありません。
これらの樹々はどんな人にも恩恵をもたらしますが、開発によって恩恵を得るのは一握りの富裕層にしか過ぎません。
この樹々は一度失ったら二度と取り戻すことができない自然です。
私が住むニューヨークでは、2007年、当時のブルームバーグ市長が市内に100万本の木を植えるというプロジェクトをスタートさせました。
環境面や心の 健康への配慮、社会正義、そして何より未来のためであるとの目標をかかげてのこと、慧眼です。
NY市に追随するように、ボストンやLAなどのアメリカの大 都市や中規模都市でも植林キャンペーンが進んでいます。

いま世界はSDGsを推進していますが、神宮外苑の開発はとても持続可能なものとは言えません。
持続可能であらんとするなら、これらの樹々を私たちが未来の子供達へと手渡せるよう、現在進められている神宮外苑地区再開発計画を中断し、計画を見直すべきです。
東京を「都市と自然の聖地」と位置づけ、そのゴールに向け政治主導をすることこそ、世界の称賛を得るのではないでしょうか。

あなたのリーダーシップに期待します。

令和5年2月24日
坂本龍一

これも又、気の滅入る話です。
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