夏休みはいかがお過ごしでしたか?小学生の皆さんは、夏休みならではのプチ冒険等もなさったのではないでしょうか。今回は、医師であり作家でもあった、斉藤茂太さんのお話をご紹介します。
子どもにある程度のストレス、欲求不満を味わわせなければならない。心身の能力の限界まで挑戦したいのが生物としての人間の本能だ。マラソンでもぶっ倒れるまで走るのは辛いが、後には快感に転じる。山登りもしかり… 今の子どもたちはそういう快感を知らない。しんしんと冷える寒さも、堪え難い空腹も知らない。冬の手足の霜焼けとアカギレはむかしの子どもの象徴だった。近頃は霜焼けもアカギレもしなくなり、鼻からたらす二本棒もなくなったが、同時に辛さに耐える力も失われてしまった。 ストレスは必要という原理は多くの人が知っている。しかしなかなか実行ができない。ことなかれ主義は子どもを本質からダメにしてしまうものだ。ケガをさせまい。病気をさせまい、何々をさせまいというのは結局は子どもを虚弱にさせる作用しかない。
母親は母乳をのませたりするから子どもとの間にスキンシップがある。父親にはそれがない。しかしフロムのいうように、「子どもにとって母親は家庭を意味し、父親は子どもに世界への道を示す人なのだ」という役割がある。 要するに、子どもに対して親は適度なストレスを投げかけることが必要で、そのために親と子どもの間は“ギブ・アンド・テイク”の関係を持たなければならないのである。(sada) |