コラム 【12月号】
● 今月のテーマ 〜 やなせたかしさん 〜
 近頃、なにやらぎすぎすとした余裕の無い世の中になってしまったな〜
“自分だけが良ければ良い”といった風潮も気になるな〜と思っていますが、先日やなせたかしさんについての記事を目にして、やはり“人間”としての優しさとは、心が広く、芯は強く、何より人の意見に耳を傾ける余裕を持つ事。これに尽きるのでは、と思いました。

 94歳で亡くなったやなせさんは遅咲きの人だった。「アンパンマン」を生んだのは50代も半ばになってから。売れなかった時代は「一寸先は光」という言葉を心の杖にしたそうだ。一寸先が闇でなくて光なのは、人を励ます作風に通じる。

 アンパンマンは相手を一方的にやっつけたりはしない。絶対の正義などないという持論は、先の戦争での出征体験による。声高な正義はうそ臭い。本当の強さとは優しさだと、物語は気づかせてくれる。漫画家ながら詩もつくり、詩集と名のつく本を何十冊も出した。季刊誌には、「ところであなたは?」という問いかけで終る巻頭の詩をいつも載せていた。

 絵筆ひとつで童心と行き交い、老いていっそう輝きを放った。3・11の後は病気を押して子らを勇気づけた。「かっこ良くない正義のヒーロー」を生んだ人の生き方を見て思う。かっこ良いとは、こういうことを言うのだろうと。(朝日新聞 天声人語より)(sada)
リトミック豆辞典
 幼児を対象とした教育では、子どもの身体と精神の発達段階に即した方法で行う必要があります。幼児の好む空想に訴えかけ、創造力を伸ばすように努める必要があります。私たちの第一の使命は、子どもたちの周囲や内部で起こっている興味深いすべての事柄に注意を向けさせ、少しずつ、根元的な事実を発見させていくことなのです。(ジャック=ダルクローズの談話より)
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