コラム 【9月号】
● 今月のテーマ 〜赤ちゃん時代の感性〜
 夏休みは、皆さんいかがお過ごしになりましたか?普段できない事を沢山した人、ゆっくりと休養をとった人、暑さにやられてひたすらボケーッと暮した人etc. それなりに楽しまれたと思います。

 私はといえば、6月に生まれた孫と共に過ごしてみて、生まれ出た瞬間からの赤ちゃんの生命力に、ただただ感嘆する夏休みでした。毎日毎日、生きるための栄養を口と体から精一杯吸収している様は、正に“生きて行く為に戦っている”姿そのものでした。与えられている環境の中で、兎に角全てを吸収していく訳ですから、大人の責任は重大です。ものごころのつく前の時点の大切さ、責任の大きさをひしひしと感じました。

 以前読んで心に残った記事を御紹介したいと思います。

 心理学者ローレル・トレイナー氏の研究チームは、生後7ヶ月の健康な赤ちゃん16人に、スネアドラムで拍を聞かせ、半分の8人には2拍子のリズムで、残り8人には3拍子のリズムで母親に揺すってもらった。次に、16人の赤ちゃんに対し、抱っこされないでリズムを聞かせ、2、3拍子のどちらを好むか奏でる人を見つめる時間の長い方で調べてみた。この結果、全員の赤ちゃんが、母親に揺すってもらった拍子を好む事がわかった。

 研究チームはこのテストから、生後わずか数カ月の赤ちゃんでも、異なるメロディーやリズムを認識する事ができ、親が歌いながら赤ちゃんを揺すったり、足を軽く叩いたりする事が、赤ちゃんの脳にリズムを認識する神経を形成させると結論づけた。トレーナー氏は、「音楽の種類は、モーツアルトでもロックでも何でも良いのです。重要なのは音楽を聞かせながら、リズムを体感させることなのです」と述べた。

 親の影響の大きさを証明する結論ですね。私達もお力になるべく研究していかねば…と思った夏休みでした。
リトミック豆辞典
 音楽的才能というのは、往々にして、一人ひとりの子どものなかに奥深く隠れたままであって、さまざまな理由から、表に現す手段が見出せないのである。それはあたかも地下を流れている水脈が、強力なつるはしで道を開くまでは地表に湧き出てこないのと同様である。子どもの音楽性を発掘するのは教育の仕事である。(ダルクローズ著「リズムと音楽と教育」より)
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