コラム 【2月号】
● 今月のテーマ 〜察知する能力〜
 近年、私達をとりまく音環境の悪化は皆さんお気付きの事と思います。 絶えまなくどこかから聞こえてくる音、音、音。駅やお店等で流されているBGMは無意識の内に、我々の耳の中に入って来ます。音楽がながれていたかどうかの記憶すらないままに…

『耳の鈍化』と言う恐ろしい現象が起っています。子ども達の五感はバランスを失って、総合的にものを見る能力は衰えてきています。耳の鈍化は、音に対する無関心から人の気持ちを察するデリカシーの喪失を生み、自然の中で起きている異常を嗅ぎ分ける能力もうばわれてしまっています。

 こんな話を聞きました。世界的なサウンドアーチストで、レンガの壁の間に一日座り込んで、地球の動く音まで聴こうとした試みなど、ユニークな活動で知られている鈴木昭男さんという方についてです。彼は東京から京都府丹後町に移り住み、人間が失ってしまった古代人の耳をとりもどすため、縄文の縦穴住居を再現して、そこで音感覚を磨く試みもされています。その体験を通して、古代の人は、地震も音で予知できたかもしれないと思いはじめたそうです。

 様々な騒音の中で暮す現代では、不可能な事であるかもしれません。しかし、五感を研ぎすまして、古代人が持っていた、自然界の気配を感じとり嗅ぎ分ける能力を、私達がほんのちょっぴりでも取り戻す事ができたら、今後起こり得るであろう、様々な自然界の変化に上手く対応できるかもしれませんね。(定成淡紅子)
リトミック豆辞典
 発達心理学によると、生まれたての赤ちゃんから3才くらいまでを「母子一体期」と言います。このころに絵本を読み聞かせたり、歌を歌って聞かせたりたりすることは、「自分は親から守られている」と感じることができ、子どもの心がとても安定します。

 3才を過ぎた頃から、自分と親との間にすきまがあることに気がつき、そのすきまをうめようとします。これが第一次反抗期となります。
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